心のこと

うつ病⑤ 治療費の負担を軽減する自立支援医療(精神通院医療)を受けよう

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こんにちは、ゆとり主婦のマリー(@yutori_shuhu)です。

うつ病の体験記の続きで、今回は自立支援医療(精神通院医療)を受けた経験について書きます。

自立支援医療(精神通院医療)とは何か、どうやって受けたのか。受けてよかったのかどうか、体験をもとにご紹介します。

うつ病の体験をシェアして、同じ境遇の方やうつ病を患っているご家族がいる方のお役に立てればうれしいです。

長期間のうつ病治療=かさむ治療費

うつ病は、「心の風邪」と例える人もいますが、風邪のように1度病院にかかっただけで治るような病ではありません。

うつ病で半年~数年単位で通院する人も少なくありません。(その意味では「心の風邪」という例えは個人的には疑問を感じます)

私自身は2つの病院に通い、通算すると9~10カ月ほどかかりました。

その間、診療費、検査費、薬代・・・と治療費はどんどんかさんでいきます。

ウツ離職も重なると、治療費はさらに重くのしかかる

さらに、私の場合はフルタイムで勤務していた仕事を辞めることになり、経済的にさらにきつくなりました。

その時の仕事は業務委託契約だったため、傷病手当や休職制度も使えず、ただ単に収入がゼロになりました。

結婚していたので夫のおかげで生活はできましたが、家計の収入は半減し、さらに通院費用がマイナスとなりました。

自分の奨学金の返済も貯金を切り崩しての生活となり、うつ病の上に精神的に追い打ちをかけられるようでした。

自立支援医療(精神通院医療)を知ったきっかけ

そんな中、自立支援医療を知ったのは最初に行ったメンタルクリニックでした。

初診のお会計の時に、受付のスタッフの方が自立支援医療について書かれたチラシを手渡してくれたのです。

しかも、「利用する場合はおっしゃってくださいね」と声をかけてくれました。

これによってしっかりとチラシを読むことになりました。

診断内容と治療方針に疑問を感じた最初の病院でしたが、受付のスタッフは親切だったと思います。

自立支援医療(精神通院医療)とは

自立支援医療(精神通院医療)とは、うつ病だけでなく、統合失調症などの精神疾患の治療を通院して行う場合の医療費の給付制度です。

厚生労働省のウェブサイト「自立支援医療制度の概要」によりますと

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

治療費の自己負担額を減らしてくれる制度だということがわかります。

通院で経済的が負担が重くのしかかる中、それを軽減してくれるありがたい制度なのです。

どのくらい軽減してくれるかというと、所得の上限などありますが、ざっくり大枠で言うと、負担額が3分の1になると考えてよいでしょう。

公的医療保険加入者は、通常3割の医療費を自己負担しています。

自立支援医療を利用すると、負担する3割のうち2割を公費が負担してくれて、自己負担が1割に軽減するという仕組なのです。

仮に、通院や投薬にかかる治療費が1年間で6万円かかったとします。

もしも最初から自立支援医療を利用していたら、そのうち4万円が公費負担となり、自己負担は2万円で済んだのです。

数年単位で通院するとなると、この差はさらに大きいものとなります。

自立支援医療の対象になる人

何らかの精神疾患により、通院による治療を続ける必要がある程度の状態の方が対象となります。
対象となる精神疾患の例を、いくつか挙げてみます。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • 不安障害
  • てんかん
  • 知的障害
  • 強迫性人格障害
  • 薬物などの依存症

もしも自分が自立支援医療の対象になるかどうかわからない場合は、医師に尋ねるとよいでしょう。

また、所得に関しての制限は、市町村民税の金額が23万5千円までの方が対象となっていますが、現在は「重度かつ継続」であると判断されればその制限を超えて受給できます。

しかし、平成33年4月1日以降はその特例がなくなり、一定所得以上の「世帯」の方は、全ての方が自立支援医療の対象外となりますのでご注意ください。

▼詳しくは厚生労働省の自立支援医療制度の概要をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html

 

今回は精神疾患の場合について書いているので余談になりますが、厚生労働省のウェブサイト「自立支援医療制度の概要」によりますと、精神通院医療以外にも、更生医療・育成医療といった範囲にも対応している制度だとわかります。

精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者

更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)

育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

自立支援医療の対象になる病院

自治体により指定した医療機関があります。自治体に問い合わせるか、通っている病院に尋ねるとよいでしょう。

自立支援医療で負担する金額など

自立支援医療を利用すると、基本的には自己負担額の3割のうち、2割を公費が負担してくれます。

例えば、通院費と薬代で自己負担額として6000円支払う場合、4000円が公費負担となり、残りの2000円を実際には支払うことになります。

さらに、生活保護受給者は自己負担額が0円。

低所得者においては、所得に応じて月額の負担額の上限が5000円、2500円など決まっていて、さらに支援する仕組みとなっています。

自立支援医療を受けるには 申請・手続き方法

この後は、自立支援医療を受けてみようと思った方のために、どうやって申請したのか書いていきます。

申請する窓口を調べる

まず、どこに申請したらいいのかを調べます。

たいていは住んでいる自治体の保健福祉に関する部署になっているはずです。具体的に調べていきましょう。

住んでいる自治体のホームページを読む

まず、google検索で「自立支援医療+住んでいる自治体名」で検索しましょう。

もし千葉市に住んでいるなら、「自立支援医療 千葉市」と検索窓に入れるのです。

そして、検索結果のうち、千葉市の公式ホームページを選んで参照します。

ちなみに、2019年3月21日現在では、このような検索結果になっています。
自立支援医療と千葉市での検索結果

上位のほとんどが千葉市の公式ウェブサイトです。

1番上のリンク先は、自立支援医療の担当部署である保健福祉局 高齢障害部 精神保健福祉課のページです。

このページを読むと、「申請等の窓口は、居住地または現在地の区保健福祉センター健康課です。」と記載があります。

おまけに、自立支援医療のチラシPDFのリンクもあり、制度についてよくわかります。

このように、自分の住んでいる自治体のホームページ内で、自立支援医療の記載があるページを検索すると、申請の窓口になる部署がわかります

もちろん、先に自治体の公式ホームページを開いて、そのウェブサイト内の検索窓に「自立支援医療」と入れて検索してもいいでしょう。

精神保健福祉センターに問い合わせる

自治体の担当窓口がわからない場合は、お近くの精神保健福祉センターへ電話で問い合わせると教えてくれます。

▼全国の精神保健福祉センター一覧
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/mhcenter.html

自立支援医療を申請する時に必要なもの

申請する窓口がわかったら、手続きに行きましょう。

自治体によって、多少必要なものが異なる場合があります。事前に電話で確認してから役所に行くと安心でしょう。

担当部署が忙しい時期だとかなり待つこともありますので、その面でも電話を入れておくのはいいですね。

基本的には下記のものが必要になります。

申請書

窓口にありますので、行ったときに記入するケースが多いでしょう。

事前に記入できるようにウェブサイト申請書のPDFファイルを載せている自治体もあります。場合に応じて活用しましょう。

診断書

主治医による診断書が必要です。

自立支援医療申請用を書いてもらわなければならないので、病院には「自立支援医療を受けたいので診断書をいただけますか」と、用途をしっかり話してお願いしましょう。

診断書の発行には費用がかかりますが、これは自立支援医療制度の対象外となります。

健康保険証の写し(コピー)

現在加入している健康保険証のコピーを提出します。

念のため健康保険証の現物も持参しましょう。

国民健康保険の場合は、世代全員分を知る必要があります。そのため、カード式の場合は全員分の写しが必要になる場合があります。

市町村民税・都道府県民税の金額がわかるもの

納税通知書や所得証明書などです。

どうしても手元にない場合、市役所で税情報が確認できることもありますので、電話で相談しておきましょう。

印鑑・個人番号カード(または通知カード)

印鑑や、個人番号カード(発行していない場合は通知カード)が必要になる自治体もあります。
シャチハタは不可の場合もあります。事前に確認しましょう。

その他

生活保護を受給している方は、生活保護受給票の写しも必要です。

また、年金を受給している人は、年金振込み通知書や、年金の振込みが記帳されている預貯金通帳など、受給金額がわかるものを持参しましょう。

自立支援医療の受給者証の有効期間

手続きが済むと、自立支援医療の受給者証が発行されます。

しばらく仮の受給者証を使用し、後日郵送で正式な受給者証が送られてくる場合もあります。

この受給者証の有効期限は1年間です。

引き続き受給したい場合は、更新手続きをします。

最初に自立支援医療を申請した時に、窓口で説明があります。治療が長引く可能性も考慮して、更新の仕方を聞いておきましょう。

ちなみに、私の場合は、10カ月程度の通院で治療が終わりましたので、自立支援医療の更新はしませんでした。

しかし、病院から「更新時期ですよ」と連絡をもらいました。気にかけてもらってありがたかったです。

自立支援医療の受給者証を手に入れたら

手続きが無事に済んで、自立支援医療の受給者証が手に入ったら、次の通院時に持参しましょう。

受付で診察券や健康保険証と一緒に提出しましょう。

その際、スタッフの方に一言「自立支援医療を受けることになりました」と声掛けしておくと安心です。

その日の会計から、1割負担に軽減しています。

処方箋が出た場合は、薬局でも同様に受給者証を提出しましょう。

通院のたびに、毎回提出する必要があります。

転院する場合

受給後に転院する場合は手続きが必要になります。

手続きをしないと、転院した病院では3割負担に戻ってしまいます。

最初に自立支援医療を申請した窓口で説明を聞いておき、病院を変えたら忘れずに手続きをしましょう。

自立支援医療を受けるのをためらってしまう人へ

私も初めは自立支援医療を申請するかどうか、迷いました。

その理由は、役所で申請する必要があるので、自分がうつ病で通院している情報を渡したくないという気持ちがあったからです。

田舎だと役所に知人がいたり、うわさが広がったりするのではないかと心配になります。

また、仮に将来、役所関係の仕事に就くことになった場合に、過去に受給していたことがわかってマイナスの印象を与えるのではないかと不安もありました。

ただ、受けてみてわかったことは、今のところ全くそのようデメリットはないうことです。

役所で働く人たちには、個人情報を漏洩しないという守秘義務がありますので、それが守られる限りは外に漏れることはありません。

また、うつ病で精神的に疲れているのに、役所に行ってたらいまわしにされたら嫌だなと考えている方へ。

私は手続きについてちゃんと調べずに、いきなり役所の窓口に行きましたが、とても丁寧に優しく対応してくださいました。

精神保健関係の部署で働く職員の皆さんは、精神疾患にかかった人への対応に慣れてらっしゃると思います。邪険にされたり、たらいまわしにされることは少ないと思います。

「うつ病で、自立支援医療を申請したいのです」と目的をはっきり口にしましょう。

まとめ うつ病になったらすぐ自立支援医療を使おう

うつ病で通院している人は、自立支援医療の制度を使いましょう。

治療は、どのくらいの期間がかかるかわかりません。それを考えると、できるだけ早く申請した方がいいです。

できたら初診時に申請用の診断書も依頼しましょう。

費用が3分の1になることで、精神的にも経済的にも負担が軽くなります。